【ネタバレ解説】楳図かずお『14歳』人類の未来を暗示した衝撃的ラストは必見!
こんにちは。
『14歳』に登場するチキン・ジョージ博士が中々のトラウマになっているsasaki(@sasaki_holiday)です。
皆さんは、「楳図かずお」という名前を聞いてどんなことを思い浮かべますか?
- ホラー漫画家
- ギャグ漫画家
- 赤白の縞々おじさん
- そもそも知らない。。。
- などなど
まぁ、漫画家って知らない人も多いのかと思います。
漫画家と知っている人も作品を実際に読んだことがあるという方は少ないのではないでしょうか?
私も昔は「まことちゃん」のグワシッのイメージでした(笑)
まぁ、あとは劇画風の絵で描かれるホラー漫画を思い浮かべる方も多いと思います。
しかしですよ!!!
確かに、トラウマになるようなホラー漫画や、まことちゃんのようなギャグ漫画だけが彼のすべてではないんですよ!!
むしろ、私は楳図かずお先生はSF漫画こそ真骨頂だと思っています!!
代表的なSF作品として、以下のようなものがあります。
- 漂流教室
- わたしは真悟
- 14歳
正直、この3作品は今読んでもビックリするようなストーリーに加えて、非常に考えさせられるような部分も多く、私も大好きな作品です。
今回は、この中でもかなり衝撃的な内容となっている『14歳』を読んだ感想と私なりの考察なんかを交えてご紹介していこうと思います。
ぜひ、興味のある方は読んでみてください!!
壮大なスケールで描かれる人類滅亡へのカウントダウン!!
最初、この『14歳』を読んだときはしばらく放心状態になりました(笑)
それくらい、衝撃的な内容と一度読みだしたら止まらなくなるようなストーリー展開です!!
まずは、簡単にあらすじをご紹介いたします。
現代より未来である22世紀。
科学の技術も大幅に進歩しており、食肉さえも遺伝子技術によって工場で生産されている世界。
ある日、鶏肉製造工場から突然変異的に鶏の頭を持った人物であるチキン・ジョージが誕生する。
それと同時に世界中である異常事態が発生する。
それは「緑病」と呼ばれる緑の髪の毛を持った赤ん坊が世界で同時に生まれたのだ。
チキン・ジョージは天才的な知能を持っており、あらゆる学問を学んでいくにつれて、ある事実を知ることになる。
それは「この緑病の子供が14歳になった段階で人類と地球が滅亡する」という事実であった。
人類と地球の滅亡を悟ったチキン・ジョージはありとあらゆる生命を宇宙船に乗せて地球脱出を計画するが。。。
まぁ、こんな感じでお話が進んでいきます!!
このお話の象徴的存在である「チキン・ジョージ博士」ですが、衝撃的なルックスでかなりインパクトあります(笑)
正直、人類にとっての味方なのか敵なのかも何とも言えず、捉え方は様々です。
そんな不気味さMAXなチキン・ジョージは自らを「自然から遣わされた復讐者」と認識していて善悪を超えた行動をしていきます。。。
もう、これだけでも読みたくなりませんか??
この漫画は文庫本サイズで復刻したものでは13巻で収まっているにもかかわらず、その中身の濃さは異常と言えるレベルです(笑)
それではここからは実際に読んだ私の感想です。
一部ネタバレもありますので注意してください。
人間の愚かさが独特の表現で描かれる
人間とは愚かなものだと思い知らされます。
この漫画は基本的には、人間の醜い部分や利己的な行動が人間と動物の間のような存在であるチキン・ジョージ博士の目線で描かれる部分が多くあります。
例えば、地球脱出のために世界を牛耳る大実業家のローズ氏に不老不死実現のヒント(難解な数式の解読)をチキンジョージが提供する見返りとして莫大な資金を得る場面。
結果として、ローズ氏の不老不死の実験は失敗に終わりますが、その際に「モノ」と呼ばれる人類のクローンのような存在が出来上がります。
「モノ」は人工奴隷として世界中に売り出されるわけですが、これは地球滅亡の事実を知る一部の先進国の上層部が国民の目を地球滅亡から逸らすためのものだったり。。。
なんか、原発事故が発生したときの各国政府の対応なんかを連想させる内容ですよね。。。
一部の情報を知る層は着々と逃亡の準備を進めて、その間、国民は政府がコントロールする情報で混乱するみたいな。
そして、大衆が事実を知ったときにはもう時すでに遅し。みたいな
あと、後半の方で地球が滅亡する際に大半の人間の「本性」があらわれてから死んでいく場面。
本性とは魂の汚い部分が暴走してゾンビのような姿で暴れるもの。
しかし、中には我が子の無事だけを祈り続けて美しい姿で死んでいく人間もいたりします。
楳図かずお先生の漫画はホラー漫画なんかでもそうですが、人間の内面的な部分を姿形として表現する場面が多々あって、そこが恐怖であったり、悲しみなどにつながってとても読んでいて心に残っていたりします。
【ネタバレ注意】圧巻の結末!!宇宙に飛び立ち人類の未来を模索する子供たち
緑病の子供たちは人類の未来を背負って宇宙に飛び立ちます。
そこでも、紆余曲折あるのですが特筆すべきは非常に哲学的な結末。
私はずっと、ラストはどんなひどい仕打ちで人類の未来が自然や宇宙といった大きな力によって崩壊させられるのかと考えながら読んでいました。
しかし、ラストは思いもよらない結末でした!!
※以下盛大なネタバレです(笑)
新たに生存可能な惑星を見つけるために宇宙に旅立った子供たち。
しかし、14歳になったものから本性をあらわして死んでいった。
それに対抗するために、子供たちは14歳になる直前の子供から冷凍保存することに。
そして、最後の一人になった子供(アメリカ大統領の息子)は意識の中?で宇宙の果てに到達する。
(もうこの辺から感覚の世界に突入です笑)
そこには、地球のような風景が広がっており、ふと目をやると一匹の弱ったアオムシが。
どうやら、地球を含む宇宙はこのアオムシの中にある空間だと気付く。
つまり、地球の滅亡は人類のせいではなく、このアオムシ弱り死にかけているために宇宙が終わりを迎えようとしていた。
そこでアオムシを草木がある場所に移してあげようとしますが、宇宙(アオムシの中)の住人である子供には不可能であった。
そこに、通りがかった親娘。
なんとその顔はチキン・ジョージだった。
その娘には子供の姿は見えないが、その娘はアオムシを森の中に返してあげた。
すると、アオムシは元気を取り戻し、それに対して子供が心から感動した瞬間。
人類は新たなステージへと進化して、これをきっかけに人類の終わりは回避され、冷凍状態の子供たちも次々に目を覚ます。
そして、子供は娘に感謝を述べたあと、アオムシの中に帰っていく。
その後ろ姿をチキン・ジョージが手を振って見送る。
終わり。
最初読んだとき、かなり意味不明でした(笑)
ていうか、今自分であらすじを書いていてもよくわかりません(笑)
このラストのあらすじも結構私なりの解釈とか混ざっていますが、最初はマジで意味が分からなった印象です(笑)
しかし、何回か読んでいると色々と考えることも多く、自分なりにまとまった感じです。
ここで、一番のポイントだと感じたのは「人類の次の段階への一歩」という部分だと思います。
非常に愚かで利己的、自分のためならその他の生物や自然のことなど一切考えずに繁栄してきた人間が他の生物のために心から感謝をすることで結果的に宇宙の終わりを回避します。
そして、新たなステージへと進んだ人間をチキン・ジョージが見送るというもの。
なぜ、アオムシなのかとかはちょっと理解不能でしたが、なぜか読み終えた後にしばらく他のことが考えられなくなるほど感動ともいえない不思議な気持ちになったことを覚えています。
正直、この辺は読む人によってさまざまな解釈となるので是非、実際に読んでみてください!!
まとめ
今回は、楳図かずお先生のSF漫画『14歳』のあらすじと私の読み終えた感想をネタバレ込みでご紹介いたしました。
最初は、実家にあった古い単行本を小学生のころに読んであまりに意味が分からず速攻でリタイアしてしまいました。
しかし、大人になってから読み直すとドンドンのめりこんでいきあっという間に全巻読んでしまいました。
ぜひ、ちょっと変わった漫画をお探しの方は読んでみてはいかがでしょうか?
Kindle版は期間限定で無料試し読みキャンペーン実施中なので手軽に読めてオススメです!!
※2018年6月現在
また、コチラの記事では14歳とは打って変わって「お馬鹿」「友情」「バトル」がぎっしり詰まった「金色のガッシュ!!」も紹介しています。
以上、ご精読ありがとうございました。