【全1巻おすすめ漫画】町田洋『夜とコンクリート』静けさとノスタルジーがフワっと広がる名作

2018年9月2日Book, 漫画

こんにちは。
気が付いたら夏が終わっていたことに絶望しているsasaki(@sasaki_holiday)です。

今回ご紹介する漫画は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門の受賞作品「夏休みの町」を収録した、町田洋「夜とコンクリート」です。

「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」とは過去には映画化、アニメ化された作品も数多く受賞した漫画賞です。

この漫画賞は「クリエイターがクリエイターを選ぶ」というモットーで選出されているため、出版社の意向などが反映されにくい性質があります。

そんな賞を受賞した作品を収録した「夜とコンクリート」ですが、評判通り最高の短編集でした!!

魅力については後ほどじっくり語りますが、何といっても「静けさ」がこの作品の醍醐味であり魅力です。

この作品には、表題作「夜とコンクリート」、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作品「夏休みの町」を含む全4話が収録されていますが、そのどれもが、静けさの中に切なさなどが繊細に描かれています。

正直、この感じは一度ハマったら癖になります!!

実際に私は「町田洋」さんの作品は今作が初めてだったのですが、完全にハマりました(笑)

読み終えて気が付くと何とも言えない不思議な気持ちになります。

では、早速「夜とコンクリート」を読んだ感想などを書いていきます。

建物と人間を通して静寂の世界を表現した表題作「夜とコンクリート」

夜とコンクリート

表題作にして1話目に収録されているこの作品。冒頭から完全に町田洋ワールドに引き込まれました。

この作品には不眠症に悩む男性がひょんなことから「建物の声が聞こえるという男性」に出会います。

彼曰く、「会話ではなく、ラジオのように発信し続けている」とのこと。

そして、建物が眠る時間帯に彼も眠りにつきます。

この感じって都心に住むようになって共感できる部分が多々あります。

建物というか、街が眠るタイミング。

そんな時に眠れずに起きている自分。

そして、いつも通り朝になると活動を始める街。

実際、彼のように建物の声は聞こえないけれど、どこか自分が街のリズムに飲み込まれてスゥーっと沈み込んでいくような感覚はどこか共感できました。

そんな大人になって感じた不思議な感覚を静かな描写で淡々と描かれているこの作品で一気にこの漫画全体に引き込まれていきました。

そして、この作品全体に共通する「静けさ」の描写にハマっていきます!!

ちょっと不思議で切ない「夏休みの町」

夏休みの町

個人的にはこの作品が一番好きでした。

66年前間、友人を探し続ける老人とそれを手伝う大学生のお話です。

もうね、このお話はネタバレとか嫌だから内容についてはぜひ実際に読んでください。

少なくとも私は不思議と涙が出ました。

しかし、人によって感じ方は違うようで奥さんは「すごく前向きになれるお話だった」といっていました。

66年もの間、孤独に友人を探し続けていた老人の切なさ、自分が望むものに囲まれつつも現状や今後に不安を抱える大学生の心理描写。

そしてそれらの感情が様々な「間」や「セリフ」で淡々と描かれています。

夏休みの町1コマ

たったこれだけのとてもシンプルな場面ですが、永遠とも呼べる孤独を味わってきた老人と、大学生の心理がとても深く描かれています。

このお話は心地よくもどこか切ない不思議な気持ちになる作品です。
ぜひ、実際に読んでみてください。

少女の幻想と大人への成長を独特の間と空気感で描いた「青いサイダー」

青いサイダー

みなさんも幼少の頃、自分だけにしか見えない友達いませんでしたか。

この作品は寂しさを抱える少女が幻想の中で会える友人を心のよりどころにしています。

しかし、あることをキッカケにその友人と会えなくなり、大人へと成長していくお話です。

この作品の魅力は少女の微妙な気持ちだったり、大人の感じるものとは異なる子供特有の時間の流れを無音の間だったり、空間的な間で巧みに表現している点です。

青いサイダー1コマ

子供が感じる時間の流れって明らかに大人のそれとは違いますよね。

また、なんてことないことに感じる得体のしれない恐怖だったり不安。

そんな誰もが味わったことあるけど、大人になると忘れてしまう不思議な体験と成長を独特の空気感で描いています。

そして、ある時を境に何事もなかったように、そして本人さえ忘れてしまうように気が付くと大人になっている。そんな不思議な感情、体験がギュッと詰まった作品です。

周りは大人になって自分だけ取り残された感覚「発泡酒」

発泡酒

久しぶりに学生時代の友人に会って、自分だけ取り残されたような感覚になることありませんか。

最後の作品である「発泡酒」。

大人になって夢から覚める。

毎日の現実を見ながら先の見えない道を歩み続ける。

そんな、学生時代を懐かしむ一方で、現実と向き合い生きる大人の何気ない気持ちが非常に短い数ページに凝縮されています。

最後にこの話を持ってくるあたりが憎い(笑)

絶対に他の作品も読みたくなるじゃん。

非常に短いお話ですが、この漫画作品「夜とコンクリート」をフワッとまとめ、読み終えた後の何とも言えないノスタルジックな感情だったり、切なさなんかを静けさに還していきます。

きっとあなたもここまで読んで、何とも言えない気持ちになっているはずですよ(笑)

まとめ

今回は、町田洋「夜とコンクリート」を読んだ感想をまとめました。

偶然、この夏の終わりにこの作品を読んだのですが、タイミングピッタリでした!!

静かさの中に描かれる誰もが感じたことあるような不思議な切なさ、ノスタルジーはより鮮明に浮かびあがり、きっと町田洋さんの大ファンになるような短編集です。

ホントにここ最近読んだ短編集の中でもトップクラスに心に残る作品なのでぜひ読んでみてください。

Point

◆夏の終わりに読むのにピッタリな作品
◆独特の「間」と「セリフ」に気が付けば虜になっているはず
◆誰もが感じたことある感覚をちょっと不思議に繊細に描いた名作ぞろいの短編集

【他にも全1巻で完結するおすすめの漫画を紹介しています。】

【マンガ好きなら絶対にスマホに入れておきたいおすすめ漫画アプリランキング】

以上、ご精読ありがとうございました。

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