【書評】『この数字がわかるだけで日本の未来が読める』数字でホントの日本を読み解く1冊!

Book

こんにちは。
最近、株式投資を始めたせいか多少は日本の未来に関心を持つようになってきたsasaki(@sasaki_holiday)です。

今回ご紹介する1冊は高橋洋一さんの『この数字がわかるだけで日本の未来が読める』です。

連日のようにメディアが伝える、「年金問題」「貿易摩擦」「災害」「消費増税」「少子高齢化」。。。

私自身を含めてこれらの「日本の問題」をどれだけ客観的に感情に流されず見ることが出来ているでしょうか。

今回ご紹介する同書ではこんな当たり前のように認識している日本の問題の本質を「数字」という視点でひも解いています。

そこにはメディアの伝える表層的な情報に隠された真実があり、現在の正しい状態、そしてそこから見える日本の未来が見えてくるはずです。

とまぁ、堅苦しい感じの本かなと思いがちですが非常に読みやすくて面白いです。

タイトルには「日本の未来が読める」とありますが、どちらかというと実際の事例をもとに現在の日本の立ち位置を把握することがメインとなっています。

まぁ、結果的には正しい数字によって物事を判断することが未来への予測につながるとは思います。

若干、自民党よりな意見が多い部分は気になりますが、論拠もなく政権を無秩序に批判するメディアによって隠された真実が見える点がこの本のポイントです。

個人的には、日ごろ何となく感じていた違和感がこの本を読むことで腑に落ちたというのが率直な感想です。

では早速、『この数字がわかるだけで日本の未来が読める』を実際に読んでみた感想なんかを書いていきます。

正しい数字を無視すると本質が見えなくなる

この本の最大の論拠となるのは何を隠そう「数字」である。

しかし、数字は怖いもので真実を伝える最大のツールであると同時に人を騙すためにも重宝してしまう。

大事なのは「正しい数字を正しく読むこと」

恣意的な数字の抜粋や意図的なグラフ、チャートなどは数字を表層的にしか見ない人間を騙すにはピッタリですよね。

けど、私も含めて日本人ってどうしても数字に弱い印象です。

だから、ちょっと知識のある人間が数字を悪く使えばあっという間に物事の本質が見えなくなっちゃう。

本書でも以下のように数字について触れている。

数字をないがしろにする人間の目には、未来も真実も正しくは見えない。だから偏った意見に騙されたり、都合のよい解釈になびいたりする。

高橋洋一.この数字がわかるだけで日本の未来が読める(Kindleの位置No.220-221).株式会社KADOKAWA.Kindle版.から引用

「じゃあ、メディアが伝える情報をちゃんとした数字で見ていこうよ!」っていうのがこの本の大筋です。

あとは、この本の著者である高橋洋一さんが元大蔵官僚ってことで政治家と官僚のそれぞれの思惑とかをガンガンぶっちゃけてるのが個人的には面白かった。

ある意味では、政治家も数字の専門家である官僚などによって操作されうる脆さだったり、巧みに数字を使って国民を誘導するような危険が常にあると感じた。

一方で、新聞やTVの見出しに大きく映し出される恣意的な数字に隠された本当の数字を読むことで現在の立ち位置やこれからの状況がある程度見えてくる気もした。

「日本の借金1000兆円!!」メディアが伝える情報と真の数字

「日本の借金は1000兆円!」これは前から個人的にも違和感を感じていたことでこの本を読んで違和感の原因がスッキリした。

じゃあその違和感とは。

普通、会社とか個人で考えると借金って資産の額と比べる場合が多いですよね。

例えば、家も土地も持っていない月収30万円の人間が抱える100万円の借金と、ある程度流動的な資産を保有している会社が抱える1億円の借金って全く別じゃないですか。

ただ、「借金100万円」「借金1億円」って数字だけを見るとそりゃ借金1億円は相当深刻そうに見えるわけで。

じゃあ、日本の借金1000兆円ってどうなの?って話。

この本によると、政府の資産は約673兆円あり、なおかつ換金可能な金融資産の割合が大きいのが特徴だとか。

また、政府の子会社ともいえる特殊法人(官僚の天下り先)にも数百兆円規模の資産があるし、そもそも約400兆円くらいの国債は日銀が持ってるとか。

まぁ、全部が全部それで借金チャラってわけでは個人的にないと思うけど、明らかに「日本の借金1000兆円」ってのは部分的で意味のない数字だってことはわかります。

こんな感じで、この本では「政府とかメディアが○○って煽ってるけど、実際はこんなもんよ」的な流れで数字の大切さとリアルな日本の立ち位置を書いています。

中には個人的に??ってなる論もあったりしたけど、全体的には納得って感じでした。(まぁ、ちょっと極論過ぎみたいのもあるけど)

ただ確実なことは、ちゃんと数字を読まないと本質を見失うってこと。

増税、年金などのウソと真実

「少子高齢化で将来の年金は減少、安心した老後を保障するために消費税の増税はしょうがない。」

こんなのはまったくのデタラメだと筆者は言います。

とにかく、「私たちが支払う消費税がこの国の年金制度を救う」などという勘違いだけはしないことだ。

高橋洋一.この数字がわかるだけで日本の未来が読める(Kindleの位置No.512-513).株式会社KADOKAWA.Kindle版.から引用

確かにこれには私も納得。

どう考えても、日本の財政回復のために増税というロジックが破綻しているのは明らかです。

じゃあ、次の増税の大義名分は?

年金など将来の不安を解消するために増税となりますよね。

一方で、数十年前と比べて年金というシステムを取り巻く環境が変わってきているのは確かだと思います。

当然、高齢者に対して現役世代が減少していくのはほぼ確実なわけで。

しかし、筆者はある程度の水準で経済成長している状態では年金システムの破綻はあり得ないとのこと。

まぁ、言われてみればって感じですが。

仮に全くの経済的成長がないまま日本が停滞を続ければ年金のシステムは破綻します。

しかし、そんな事態が起きれば間違いなく年金以外の社会保障も破綻します。

現在想定されているシナリオで最も悪いパターンで出生率と経済成長が悪化したとしてもせいぜい10%強程度の給付額減とのこと。

まぁ、確かに年金の給付額が増えることはなくても10%目減りしたからって破綻って言うのはなさそうですよね。

『この数字がわかるだけで日本の未来が読める』まとめ

というわけで今回は、高橋洋一さんの『この数字がわかるだけで日本の未来が読める』を読んでみました。

基本的には今まで何となく感じていた違和感が統計データや数字によってスッキリした印象で楽しく読むことが出来ました。

一方でどうしても極論とも思えるような話や明らかに自民党よりの話なんかはどうなの?って部分もあったりして。

あと、個人的に一番気になったのはタイトルの「日本の未来が読める」って部分。

冒頭でもふれましたが、読み終えた感想としては「未来を読むっていうか現状の正しい把握」がメインだったなと。

しかし、良くも悪くも利用される数字に惑わされずに物事の本質をとらえるという部分においてはかなり勉強になることが多く、トータルとしてとても良い本だったと思います。

ぜひ、新聞やTVのニュースや政治などの違和感をスッキリさせたい方は読んでみると面白いと思いますよ!

以上、ご精読ありがとうございました。

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