【書評】『西洋美術史入門』美術館が100倍楽しくなる1冊!大人の教養として読んでおきたい
こんにちは。
今まで美術館が退屈でしょうがなかったsasaki(@sasaki_holiday)です。
今回ご紹介する1冊は池上英洋さんの『西洋美術史入門』です!
この本はタイトルの通りまさに西洋美術を鑑賞する上で必要な知識を非常に分かりやすく解説した入門書です。
私自身、これまで美術館の楽しさって一切分かりませんでした。。。(笑)
しかし、この『西洋美術史入門』を読んで絵画や彫刻の表面的な美しさだけでなく、その作品の裏側にある意図や社会的背景を見る楽しさに気が付きました。
この『西洋美術史入門』という本は大学で美術史を教えている池上英洋さんの講義を書籍化した本です。
そのため、美術を学んだことない初心者にも非常に分かりやすい内容となっていて、実際に私自身も楽しみながら一気に読むことが出来ました。
美術作品を読み解く上で必要なスキルから実際の作品を題材としてその作品が描かれた意図や社会的な背景などを分かりやすく説明しているのがこの本の特徴です。
ぜひ、私のように美術館の楽しみ方が分からない方や教養として美術の知識を身につけたい方の入門書として最適な1冊なので興味のある方は読んでみてください!おすすめです。
美術作品を観るから読むへ変える上で必要なスキル
まず、同書では美術作品を単に観るだけでなく読むための方法が書かれています。
そして美術を読むための手続きとして「スケッチスキル」と「ディスクリプションスキル」が必要とのこと。
スケッチスキルとは言葉通り、目の前の絵画などを短い時間でスケッチする能力です。
具体的には数十秒から数分で作品の特徴を人に伝えられるようにスケッチすることでこのスキルは向上するとのことです。
続いてディスクリプションスキルも言葉通り、目の前の絵画などを絵ではなく言葉で説明する能力です。
これも数十秒から数分程度で絵画の特徴を文章で説明できるようにすることが大切で、実際の大学の講義では2人1組となって片方が絵画を文章でまとめて、もう片方がその説明を基に絵に起こすという作業をやっているそうです。
この非常に単純なトレーニングが美術作品を客観的に鑑る上で非常に有効でなだけでなく、日常の仕事などにもいかされるそうです。
このようなスキルによって客観的に芸術作品を分析する準備ができます。
つい最近まで情報を伝える最大メディアだった絵画
では、美術史を学ぶ理由とは何でしょうか?
当たり前のように多くの人間が読み書きが出来なかった時代において絵や彫刻というのは人々に情報を伝えるメディアの役割を担っていました。
つまり絵を読むことが出来れば、自ずと当時の時代背景や人々の考えなどが見えてくるのです。
ある種、識字率が低い時代における美術というある種の言語を学ぶようなものです。
では、美術というメディアを通じて人々は何を伝えていたのでしょうか。
それを読み解くために前述した2つのスキルなどを駆使して絵画などに隠された共通認識「コード」を掘り起こし、そこから考察、分析していきます。
恐らく、私が美術館で作品を観ても楽しめなかった大きな理由はここにあると思います。
そもそも絵画に隠れた「コード」が分からず、結果的にその作品が生まれた意味や理由という部分まで辿り着いていなかったからでしょう。
しかし、このコードを理解することで美術作品が当時のメディアとして人々に伝えた多くの情報やその裏にある社会的な背景が見えてやっと美術を楽しめると思います。
美術を取り巻く社会の変化と作品への影響
よく美術館とかで目にする「印象派」とか「ルネサンス」とか「ゴシック」。。。などのワード。
私はこういうのって似たような作品を括ってるだけのカテゴリーだと思っていました。
確かに現代美術はメディアとしての美術ではなく、自己表現のツールとなっています。
しかし、メディアとしての役割を担っていた当時の美術は明確な理由があって生み出されていました。
つまり、社会的な必要性によって作られる美術でした。
ということは、その作品を読むことで社会の状況や人々の考え、出来事が見えてきます。
分かりやすいのは宗教画です。
中世ヨーロッパにおいて、宗教は政治や国のあり方に大きな影響を及ぼしました。
だからこそ、絵画を利用して人々に宗教を伝える必要がありました。
つまり、前述したようなカテゴリーは単に美術作品を特徴によって分別するだけのものではなく、当時の時代背景によって生み出された流れなのです。
その当時に何が起きて、国が何を考え、人々が何を求め、何を伝えたか。
これこそが美術史なのではないかと思います。
『西洋美術史入門』を読んだ感想とまとめ
というわけで今回は、これまで自分とは無縁だった美術史に関する本を読んでみました。
単にキレイ、美しい、自分の好みで美術作品を楽しむのは一番大事かもしれませんが、一歩踏み込んで美術を楽しむということが少しわかった気がします。
それと同時に美術を教養としてしっかりと身につけるためには絵画や彫刻などの知識は当然としてそれと同じくらい、歴史や宗教、神話、言語、経済など多岐にわたる知識が求められることも分かりました。
ヨーロッパなどで、美術史という学問が教養として重視される理由もそういう部分にあるのかと思います。
この『西洋美術史入門』という1冊は美術を読み解くための入門書としてかなり読みやすく、スラスラ読めるのでホントにおすすめです。
これからは美術館が楽しめるようになりそうです!
以上、ご精読ありがとうございました。