【書評】伊坂幸太郎『重力ピエロ』ネタバレ解説!ラストに向かう怒涛の伏線回収!

Book

こんにちは。
久々にミステリーを読んだら伏線を追っかけることに手一杯になったsasaki(@sasaki_holiday)です。

今回ご紹介する1冊は伊坂幸太郎さんによるミステリー小説『重力ピエロ』です。

この作品は直木賞の候補作品として選ばれ、2009年には映画化もされました。

実際に読んでみた感想としては、「1度読み始めたら最後まで止まれない!」って感じ。

ぜひ、休日などまとまった時間のある時に読み始めることをおすすめします(笑)

作品が発表されてからかなりの時間も経っているので今回は基本的にネタバレ有であらすじや個人的に感じたことなどを書いていくつもりです。

まだ読んだことがない方はお気を付けください。

『重力ピエロ』登場人物・あらすじ

まずは主な登場人物の紹介から

『重力ピエロ』登場人物

  • 泉水:主人公で「ジーン・コーポレーション」という遺伝子を取り扱う会社に勤務。
  • 春:泉水の弟で街の落書きを消す仕事をしている。容姿端麗
  • 父:泉水と春の父親。現在は癌を患っていて入院中
  • 母:泉水と春の母親。数年前に亡くなっている。
  • 郷田順子:「日本文化会館管理団体」という団体の職員と名乗る謎の女性。容姿端麗
  • 黒澤:泉水が仕事の関係で依頼をした探偵。本業は泥棒という謎の人物
  • 葛城:「ジーン・コーポレーション」に遺伝子検査を依頼した男性。売春斡旋で生計を立てている。

『重力ピエロ』あらすじ

続いてサクッとあらすじの紹介

舞台となる仙台の街で連続放火事件が発生。

事件現場の近くには必ずグラフィティアート(落書き)があることを春は泉水と父に伝える。

すると泉水と推理小説好きの父は事件の謎解きに興味を抱き、次第に犯人へと繋がる情報に近づいていく。

そしてついに泉水と父は事件現場に隠された「遺伝子」にまつわる謎に気が付く。

「放火」「グラフィティアート」「遺伝子」

事件現場に残される何の関係も無いように思われる3つの手がかり。

果たしてこの事件の犯人とその動機は。。。

大体、あらすじはこんな感じ。

ではでは、これからはネタバレありで物語の真相などを解説していくので未読の方は要注意!

『重力ピエロ』ネタバレ解説

まず、この『重力ピエロ』という作品で重要なポイントとなるのが、「遺伝子」

本書の冒頭でも語られている通り、春は母のレイプ被害によって身ごもった子供であり、父と泉水とは遺伝子的なつながりはありません。

春はホントの家族として大事に育てられてきたが、その生い立ちによりぬぐい切れない葛藤がありました。

そして、その生い立ちの理由は一種の呪いのように春に重くのしかかり、縛り付けていました。

で、結末をサクッと言っちゃうと、連続放火の犯人は「春」であり、グラフィティアートも春の仕業でした。

じゃあ、その動機は?というと紛れもなく自身の遺伝子的な父への復讐でした。

その春の遺伝子的な父というのが「葛城」

放火現場はかつて、葛城が連続婦女暴行事件を起こした現場でした。

当時、少年だった葛城は刑務所を出所後に名前を変え、土地を転々とした後に春と泉水が住む仙台に越していたのです。

その情報を知った春は葛城への警告としてかつての事件現場で放火を起こし反省のチャンスを与えました。

しかし、葛城は開き直り悪びれる様子も無し。

ついに最終警告、つまり最後の放火を終えた後に葛城と対峙して殺害しました。

そして、泉水もまた春と同じく葛城の遺伝子から春とのつながりを知り、密かに殺害を計画していました。

っていうのがネタバレ込みのざっくりとしたお話。

なんていうか、後味悪いっていうかなんていうか。

正直、春が放火・グラフィティアートの犯人で、葛城が当時のレイプ犯っていうのはなんとなく想像が出来る展開ではありました。

ただ、細かななぜ?って部分が後半で一気に解き明かされていく展開には驚きました。

続いては私自身がこの『重力ピエロ』という作品を読んで感じたことや考察を書いていきます。

『重力ピエロ』を実際に読んで感じたこと・考察

はい、話の題材は重苦しい内容でした(笑)

でもね、この作品の凄いところはこの春と泉水、父のやり取りは重苦しいどころか軽快で陽気な会話劇が繰り広げられるんですよ。

多分、この作品を読み終えたとき、こんなに複雑な生い立ちの春とその兄である泉水がこんなに仲良く、本当の兄弟以上に強い絆でつながっているのは父の存在の大きさだと気が付くはず。

そんで、病床の父がことあるごとに名言をポロっと残すのです。

春を我が子として育てることを決断した場面、春が事件の犯人だと気が付いた時の対応。

個人的にはこの作品で一番好きな人物は間違いなく父です。

で、またこの作品に不思議な魅力を与えているのが、当初「日本文化会館管理団体」という団体の職員と名乗る謎の女性「郷田順子」の存在。

学生時代、春のストーカーとして春に付きまとっていた通称「夏子さん」は何も悪びれる様子もなく春のストーカーとして貫き通します(笑)

結局、春の事件への関与も家族より早く気が付き真相を知ります。

この夏子さんもかなり歪んだ人物であることには変わりないのですが、まっすぐ過ぎる信念で春を追いかける姿はどこか憎めない存在です。

そして春も厄介な人として避けながらも、どこか本気で突き放してはいません。

そして、最終的には泉水と手を組んで春の異変の真相へと迫ります。

結構ハチャメチャ展開だけど、それはそれで面白い。

で、何といってもラストに向かって一気に伏線が回収されて、点が線になっていきます。

夏子さんと泉水が春の精神異常を疑った「偉人の名を繰り返し書き続けた狂気的なノート」の理由なんてシリアスなシーンなのに笑っちゃいました。

だって、放火とグラフィティアートの謎解きと同じ仕掛けで偉人の頭文字が遺伝子で寿命を司る「テロメア」を表す記号でお百度参りの要領で父の癌に対抗するための願掛けだったとか(笑)

春のしょうもないこだわりが夏子さんと泉水をあんなにも震え上がらせていたのですから。

そして、ラストに父が二人に事件の真相を問いただした時に春と自分が嘘が下手な点を指摘する場面とか、父が遺伝子的なつながりなんかとっくに超越して春のことを想っている場面は一気に涙。

この作品は冒頭からとにかく伏線MAXで全部解説してたらキリがないです。

多分、その辺はもっと詳しく解説している人がいるだろうから割愛。

伊坂幸太郎『重力ピエロ』まとめ

というわけで今回は、伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』を読んだ感想をネタバレ満載で書いてみました。

私自身、刊行当初に一度読んではいたのですが改めて読み直したら結構気が付いていなかった部分とかあってかなり楽しめました。

題材こそ、暗い雰囲気だし結末も決してハッピーエンドとは言えませんが読了後には不思議とやさしい気持ちになる1冊です。

すでに原作を読んでいる方や映画を観た方も、改めて読んでみてはいかがでしょうか?

以上、ご精読ありがとうございました。

おすすめ記事

1.月額500円のお得感ハンパない!!→Amazonプライム会員になるしかない10のメリット・特典!

2.マジでおすすめな便利グッズ大紹介→一人暮らしを快適にする便利グッズ30選!

3.Amazonを無料で使い倒せ!→Amazon各種サービス無料体験まとめ【解約方法・お得な使い方】