【書評】『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』アダムスミスからピケティまでまとめ読み!
こんにちは。
学生時代に「資本論」を読んで3日で挫折したsasaki(@sasaki_holiday)です。
今回ご紹介する1冊は代々木ゼミナール講師の蔭山克秀さんの『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』です。
この本はタイトルのまんまアダムスミスの「国富論」やマルケスの「資本論」など古典経済学からピケティの「21世紀の資本」など比較的新しめの名著までを1冊にまとめるという何とも無謀な1冊です(笑)
本書の特徴はやはり予備校講師という著者ならではの分かりやすい説明と難解な名著の要点をピンポイントでまとめている点ですかね。
ところどころ著者の苦悩や熱意が伝わってくるような口語でまるで学生への授業のような語り口は飽きることなく最後まで楽しめます。
私も学生時代に経験がありますが、経済学の原著を読んだらホントに数ページ進むのに数時間かかるようなこともあるんですよ。。。(笑)
そんな難解な部分を誰にでも分かるような表現でかみ砕いて、全体像と要点をガッツリまとめてくれているのでメッチャ分かりやすい!
一方で、50冊すべてが均等に説明されているわけではなくその辺の偏りは結構あります。
実際、数十ページを割いて説明している著書もあれば、わずか数ページで終わるものもあります。
まぁ、なのであまり50冊すべての学びを期待しないであくまで経済書に興味を持つための入門書、またはざっくり復習って感じで読むのがおすすめです。
では、簡単に実際に『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』を読んだ感想とか書いていきます。
経済学の基本中の基本をしっかり押さえることが出来る
「国富論」「資本論」「雇用・利子および貨幣の一般原理」。。。
一度は学生時代に教科書などで見ましたよね。
でも、実際にその原著を読んだ経験がある方なんて極少数ではないでしょうか。
そんなほぼ誰も読んだことのない経済学の著書はなぜ名著と呼ばれるのか。
そんな疑問がこの1冊を読めば一気に理解できるはずです。
確かに古典経済学は今の時代にはマッチしない理論なども多く含んでいます。
しかし、そこには時代が変わっても普遍的な理論や考えが詰まっています。
労働や市場、貨幣、資本主義、社会主義。。。あらゆる考え方の基礎となっているのです。
そんな経済学という学問においてとっても大事な基本中の基本でありながら一般人にはメチャクチャ高いハードルをこの本は取っ払ってくれます。
しかも、面白い!
流石、予備校講師っていう感じ。
うーん、なんていうか物知りな友達と話しているみたいな感覚(笑)
だから、本の要約なのか著者の意見なのか少々分かりにくい部分も。
けど、圧倒的に読みやすい。
そして著者が経済学の名著と呼ばれる難解な本に立ち向かって、苦戦したことがめっちゃ伝わってくる(笑)
そして、その苦労した部分から必要な情報をピンポイントで伝えてくれているのがこの本の魅力。
これから経済学について学びたい方や、一度は学生時代に学んだけど改めて復習したい方なんかの入門書として非常に適していると感じました。
経済の歴史を体系的に学べる
この本は各章ごとにザックリとテーマが分かれていて、それぞれのテーマに合わせて経済学の名著が紹介されています。
古典経済学に始まり、資本主義の発展、経済的格差など大まかな経済の歴史的変化を把握することができます。
また、経済学の歴史に大きな影響を与えた哲学書やその他分野の著書も紹介されていたりします。
実際、経済学も他の学問や社会的な背景の変化などに影響を受けながら進化していることが良く分かります。
学生時代は、丸暗記していた内容も体系的に紐づけて学ぶことで理解が深まったりします。
若干の無理はあるが、難解な名著のポイントを押さえられる
やはり、1冊に50冊の経済書をまとめるという無理は感じるものの、経済学を学ぶキッカケとしては優れた1冊です。
冒頭でもチラッと触れましたが、50冊の中でも説明の量にかなり偏りがあります。
良くも悪くも、要点をまとめるってそういうことなんですが、それでもかなりお粗末にまとめられた著書もあります(笑)
しかし、「この経済学者ってどんな人?」とか「この経済書ってどんな内容?」って問いには一言でズバッとまとめられるような簡潔さがあって個人的にはとても読みやすかったです。
っていうのも、別にこの1冊で50冊を真に理解できると思って読むべきではないと思います。
あくまで本屋さんのPOPみたいな感じで読んでいくと、思わず興味のある1冊を手に取ってしまうような感覚がこの本の魅力かと。
ただ、要所要所ではガッツリとページを割いて説明されているので各テーマの基本はしっかりと押さえることが出来る印象です。
『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』まとめ
というわけで今回は、蔭山克秀さんの『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』を読んでみました。
先程も述べましたが、本屋さんのPOPを読むような感覚でこの本を読むときっと実際に手に取りたい1冊が見つかるはずです。
そういう意味では経済学の入門書というより、導入書って感じ。
ただ、経済学の歴史の流れで重要なポイントは結構しっかりと説明されていて、初学者なんかにはピッタリな1冊だと思います。
また、社会人の教養を身につけるって意味でもこの本はアリかなと思います。
実際、原著を読むにはそれなりの知識や学習が必要ですが、この本を読めばザックリと各経済書の特徴や経済の基本を理解することができます。
あとはやっぱり、予備校講師である著者の砕けた語り口がとっても読みやすくて面白いからおすすめですよ!
以上、ご精読ありがとうございました。